おかやまDMネット(岡山県糖尿病対策専門会議)

SGLT2阻害薬の添付文書が一部改訂されました(フルニエ壊疽のリスクについて)

 SGLT2阻害薬は国内で6種類、7製剤(配合剤を含むと10製剤)が上市されていますが、これらの添付文書が一部改訂されました。「重大な基本的注意」の尿路感染、性器感染に関する記載の項に「外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」に関する注意が、また、「重大な副作用」の項に「外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」が追記されました。

 米食品医薬品局(FDA)は2018年8月末の段階で当該リスクについて警告を発出していましたが、これは、2013年3月から2018年5月の間にSGLT2阻害薬を処方された患者のうち、12例の症例がフルニエ壊疽を発症していると把握したためです。この12例についてはSGLT2阻害薬を開始後数か月以内にフルニエ壊疽を発症していました。

 今回の本邦での添付文書改訂に関しては、WHO個別症例安全性報告グローバルデータベースを用いた不均衡分析において、複数のSGLT2阻害薬(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン)でフルニエ壊疽または壊死性筋膜炎の副作用報告数がデータベース全体から期待される値より高いことが示されたが、他の糖尿病薬ではこのような傾向は示されていないこと、国内においてもSGLT2阻害薬と因果関係が否定できないフルニエ壊疽を認めた症例が報告されたこと(国内では直近3年度で1例)がその理由として挙げられています1)

 必ずしも症例数は多くないものの、SGLT2阻害薬を使用中の患者様が性器やその周辺に発赤・腫脹・圧痛を訴えられ、発熱等を認める場合にはフルニエ壊疽も念頭に置く必要があるかもしれません。

 

1) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ナトリウム・グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害剤含有製剤の「使用上の注意」の改訂について」
http://www.pmda.go.jp/files/000229296.pdf

わが国では国内副作用症例として、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)関連症例が「エンパグリフロジン」(販売名:ジャディアンス錠10mg、同錠25mg)で1例報告されており、因果関係が否定できていないという。

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