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新規GLP-1受容体作動薬efpeglenatideによる心血管リスクの抑制が認められました(AMLITUDE O試験)

 新規GLP-1受容体作動薬であるefpeglenatideの心血管安全性を評価したAMPLITUDE O試験の結果が6月25日~29日に開催された第81回米国糖尿病学会学術集会で発表されました。また同時にその論文がNew England Journal of Medicine誌に公開されました。

 GLP-1受容体作動薬には大きく分けて、exendin-4由来の製剤と、ヒトGLP-1由来の製剤があります。今回、exendine-4由来のGLP-1受容体作動薬として初めてefpeglenatideによる心血管リスクの抑制を認められました。(*exendin-4はアメリカドクトカゲの唾液腺から分離されたペプチドです。)

 AMPLITUDE O試験はHbA1cが7%を超える2型糖尿病で、心血管疾患の既往がある18歳以上の患者か、eGFRが25~59.9mL/分/1.73m2であり、心血管リスクを1つ以上もつ男性50歳以上、女性55歳以上の患者を対象としています。北南米や欧州の28ヶ国、344施設から4076例の患者が登録され、各国における2型糖尿病の標準的な治療に加え、efpeglenatide 4mg/週1回投与群、同6mg/週1回投与群、プラセボ投与群の3群に1:1:1に無作為に割り付けられました。無作為化はSGLT2阻害薬の使用によって階層化されています。主要評価項目は、心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中のいずれかの初回発生とし、副次評価項目として顕性アルブミン尿の発症やeGFR 40%以上の低下、末期腎不全(透析、腎移植、eGFR 15 mL/分/1.73m2未満)といった腎複合イベントなどが観察されました。

 追跡期間(中央値1.81年)の間に、efpeglenatide投与軍(4mg/週1回投与群および6mg/週1回投与群)189人(7.0%、100人年あたり3.9イベント)、およびプラセボ投与群125人(9.2%、100人年あたり5.3イベント)で主要な心血管イベントが発生しました。ハザード比は0.73(95%CI 0.58-0.92)であり、非劣性の場合はP <0.001、優越性の場合はP = 0.007と、優越性も認めました。腎複合イベントは、efpeglenatide投与軍353人の参加者(13.0%)およびプラセボ投与群250人の参加者(18.4%)で発生しており、ハザード比0.68(95%CI 0.57-0.79)、P <0.001と有意に抑制されていました。副作用としては、下痢、便秘、悪心、嘔吐、または膨満感が、プラセボよりもefpeglenatide投与群でより多くみられました。

 本試験には日本などアジアの国々が含まれておりません。そのため日本人で同様の結果が得られるかは分かりませんが、2型糖尿病治療におけるexendine-4由来のGLP-1受容体作動薬であるefpeglenatideの位置づけが変わってくるかもしれません。

情報元:Gerstein HC, et al.Cardiovascular and Renal Outcomes with Efpeglenatide in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2021 Jun 28.

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