おかやまDMネット(岡山県糖尿病対策専門会議)

新たな投与経路で低血糖を改善させる「バクスミー点鼻粉末剤3mg」(グルカゴン)が2020年3月25日に国内で製造販売承認を取得しました

「低血糖時の救急処置」を効能・効果とする、新規投与経路のグルカゴン含有点鼻薬である「バクスミー点鼻粉末剤3mg」が2020年3月25日に国内における製造販売承認を取得しました。

  軽度の低血糖の場合にはブドウ糖の内服やブドウ糖を含む飲料水等で対応可能ですが、重症低血糖では錯乱や意識消失等の症状を起こし、治療に他者の補助を必要とする場合があります。多くはインスリン治療を受けている糖尿病患者に生じ、これまでは重症低血糖の治療薬としてはグルカゴンの注射製剤が用いられてきました。「バクスミー点鼻粉末剤3mg」はディスポーザブルのキットで鼻腔内に粉末を噴霧することで注射製剤と同様の血糖上昇効果を得られるとされています。

  海外の少数例での研究ではありますが、介護者がグルカゴンの注射製剤を使用した場合には13%の人のみしか全量を投与できなかった一方で、「バクスミー」を使用した場合には94%の人が全量を投与しえたとの報告があります。また、同じ研究において、投与までの時間が注射製剤では1分53秒要したことに対し、経鼻では16秒で投与可能であったとも報告されています。国内においても低血糖の回復についてグルカゴン注射剤と比較して非劣性を示しています。

  これまでは、グルカゴン注射の手技を本人だけでなく周囲の友人・家族に習得してもらう必要があり、実際の使用にあたっては大きな制約になっていたと考えられますが、「バクスミー」は投与法が簡便であり、今後、国内における重症低血糖の応急的な処置が大きく変わる可能性があります。

 なお、現時点では薬価収載時期は未定です。
(情報元:日本イーライリリー株式会社プレスリリース(2020.3.25))

 

040601

ページトップ