持続血糖測定の管理⽬標に関する国際コンセンサスレポートが発表されました
2019年6月7日~11日までサンフランシスコで開催されていた第79回⽶国糖尿病学会学術集会(ADA2019)で「持続⾎糖測定(CGM)による⾎糖コントロールの指針」(コンセンサスレポート)が新たに発表されました(同時に英文誌でも発表1))。これまで、国内を含めて、CGMを用いることで血糖コントロールの改善を期待できるとの報告は多数ありますが、日常診療において十分に普及しているとはいいがたい状況です。
今回の指針では以下のような基準が推奨されました。
・CGMの測定期間:1回を2週間とし、得られたデータの70%以上を使っての解析を推奨。
・血糖コントロール指標:70〜180mg/dLを治療域とし、この範囲にある測定回数または時間を
TIR(time in range)、TIRより低血糖域をTBR(time below range)、
高血糖域をTAR(time above range)と定義。(表1参照)
・妊娠時は異なる基準を設け、TIRの範囲を63〜140mg/dL、レベル1のTBRを54〜62mg/dL、
レベル1のTARを141mg/dL以上とした。(表1参照)
<表1>
・「高齢者やハイリスク状態ではない糖尿病患者(非ハイリスク群)」、「高齢者や合併症などが
進行したハイリスクの糖尿病患者(ハイリスク群)」、「妊娠時(1型糖尿病)」と患者像に
合わせて具体的な目標設定も示した。(表2参照)
・一方で2型糖尿病合併妊娠及び妊娠糖尿病についてはTIR、TBR、TARともにエビデンスに乏しいと
して、具体的な推奨は見送られた。
<表2>
・TIR、TBR、TARなどの解析やレポート作成には、1⽇の経時的な⾎糖変動が集積された曲線で
⽰されるAGP*(ambulatory glucose profile)の⼿法を使うべきとした。
(*国内では「FreeStyleリブレ」、「FreeStyleリブレPro」の解析に用いているソフト)
現在、国内で使用可能なCGMは血糖値に近い数値(センサーグルコース値)をリアルタイムに確認できる「MiniMed 640Gシステム」、「ガーディアンコネクトシステム」、「Dexcom G4 PLATINUMシステム」「FreeStyleリブレ」の外、リアルタイムではないCGMとして「iPro2」や「FreeStyleリブレPro」等が存在します。今回、管理目標が推奨されたことは、臨床現場においてCGMを用いた血糖管理を行う際に非常に有益な可能性があり、かつ、今後のCGMの普及にもつながることが期待されます。
1) Diabetes Care. 2019 Jun 8. pii: dci190028. doi: 10.2337/dci19-0028. [Epub ahead of print]https://care.diabetesjournals.org/content/diacare/early/2019/06/07/dci19-0028.full.pdf