おかやまDMネット(岡山県糖尿病対策専門会議)

講演内容について

講演1
「糖尿病性腎症の克服に向けて
 ~最近の治療の進歩と岡山県における対策~」
                  岡山大学病院 新医療研究開発センター 教授
                  岡山県糖尿病対策専門会議 会長      四方 賢一

 糖尿病性腎症はわが国における末期腎不全の最大の原因疾患である。糖尿病性腎症の治療は、血糖管理、血圧管理とレニン-アンジオテンシン系阻害薬の使用が基本であり、脂質と尿酸値の管理や食事療法を併せて、多方面からのアプローチが必要である。現在、糖尿病性腎症に対する治療薬として十分なエビデンスを持つ薬剤はACE阻害薬とARBのみであるが、最近、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の大規模臨床試験の結果から、両薬剤が腎症の進展を抑制することが明らかとなり注目を集めている。また、現在糖尿病性腎症に対する複数の治療薬の治験が行われており、近い将来に実用化される可能性がある。
 一方、糖尿病性腎症が慢性透析療法導入の最大の原因疾患であることから、腎症の重症化を予防するための全国的な取組として、糖尿病性腎症重症化予防プログラムが策定された。岡山県では、糖尿病医療に関わる医師およびメディカルスタッフの資質向上と県民への普及・啓発を推進する目的で、2012年度より岡山県糖尿病医療連携推進事業が発足し、約740の医療機関が参加する糖尿病医療連携ネットワーク(「おかやまDMネット」)を構築している。おかやまDMネットの医療機関や医療スタッフが本事業に参加することにより、実効性のある事業が期待できる。現在、岡山県、岡山県医師会や各自治体との間で協議を行い、それぞれの実態に即した腎症重症化予防対策(岡山方式)を進めている。
 本シンポジウムでは、糖尿病性腎症の診断と治療に関する最新のエビデンスを紹介するとともに、岡山県における腎症重症化予防対策事業についてご紹介したいと考えている。

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講演2
「岡山県のCKD対策・透析医療と
         糖尿病性腎症の腎不全管理」
      
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液浄化療法人材育成システム開発学 教授
           岡山県CKD・CVD対策専門会議 会長           杉山 斉

 
 慢性腎臓病(CKD)の概念は2002年に米国で提唱されました。2007年から岡山市CKDネットによる医療連携が始まり、2008年から世界腎臓デーに合わせたCKD啓発イベント、2012年に岡山県CKD・CVD対策専門部会が立ち上がり、2013年から県民公開講座が開催されています。2018年に厚労省から腎疾患対策検討会報告書が出され、CKDの早期発見、適切な治療、CKD重症化予防を徹底し、透析患者さんの生活の質(QOL)の維持向上を図るという目標が盛り込まれました。2019年には国会議員による「患者と共に慢性腎臓病(CKD)対策を推進する議員連盟」(通称:CKD議連)が立ち上がりました。私共は、2018年から岡山県の市町村別の透析患者数の調査を開始し、県内各自治体レベルでのCKD重症化予防の取組を指導しております。糖尿病性腎症は透析導入の原疾患で最多であり、糖尿病性腎症の重症化予防は、慢性腎臓病(CKD)対策や透析医療と大きく関わっております。
 本講演では、岡山県のCKD対策の現状と課題、透析医療の現況、そして糖尿病性腎症の腎不全期の管理(血液透析、腹膜透析、腎移植)についてお話ししたいと思います。

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講演3
「糖尿病性腎症の集約的治療を支える食事療法
 ~栄養ケアステーションで継続的食事療法~」
          公益社団法人岡山県栄養士会 会長
          くらしき作陽大学 食文化学部栄養学科 専任教授      坂本 八千代

 
 糖尿病性腎症を含めた血管合併症の発症・進行抑制ならびに生命予後改善のために適切な体重管理を含む生活習慣の修正並びに血糖・血圧・脂質の管理といった集約的治療が推奨されている。具体的には適切な体重管理、運動、禁煙、食塩制限などの生活習慣の修正であり、HbA1c7.0%未満、収縮期血圧130mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満、LDLコレステロール120㎎/dL、HDLコレステロール40㎎/dL、中性脂肪150㎎/dL未満(早朝空腹時)である。かりつけ医、専門医への定期的な受診に加え、管理栄養士による栄養食事指導が重要なポイントとなる。患者さん自身が継続して実行するために対象者それぞれにあった指導が必要となる。
 岡山県栄養士会栄養ケア・ステーションへかかりつけの開業医から要請があれば管理栄養士を派遣することができる。事前の手続きが必要ではあるが、必要な栄養食事療法を継続する一助になると考える。

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